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地震や台風の際に生ずる屋根の破損しやすい部分や原因について

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地震・台風の際に生じる屋根被害

今回は地震・台風によってよって生じる屋根瓦の被害について書きます。瓦は、古くから日本の住宅や寺社建築に用いられてきた美しい建材であり、風雨や日差しから建物を守るために欠かせない存在です。しかし、瓦は硬くて重量があるため、地震の揺れや台風の強風による影響を受けやすく、特に古い建物では深刻な損害を被ることがあります。あとコロニアルなどの板金パーツを使う屋根材では特に台風時に板金パーツが破損する事があります。ここでは、災害時に屋根材がどのような被害を受けるのか、またその原因と対策について詳しく説明します。

 

  • 地震や台風の際に生ずる屋根の破損しやすい部分や原因について
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1. 瓦屋根の特徴と地震・台風による脆弱性

瓦屋根の特徴は、個々の瓦が互いに重なり合い、屋根全体を覆う構造になっています。日本瓦は、粘土を焼き固めた陶器製で、非常に頑丈である一方、他の屋根材と比べて重量があり、柔軟性には乏しいという性質があります。このため、地震による水平や垂直方向の揺れに対して脆弱です。あと棟部分と呼ばれる部分は構造上風の影響を受けやすいので、台風の際に風をモロに受けて崩れてしまう場合があります。

災害が発生すると、建物全体が激しく揺れるため、屋根に乗っている瓦はその揺れに耐えきれず、ズレたり落下したりすることがあります。特に、重心の高い建物や、基礎の弱い古い木造住宅では、揺れによる影響が大きくなります。瓦のズレや落下は、建物自体への損害だけでなく、下にいる人や周囲の物に危害を与える恐れもあります。

 

2. 屋根材が被る主な被害

瓦の割れ・ズレ・めくれ

地震の揺れによって、屋根に敷き詰められた瓦に普段かからない圧力がかかり割れる事があります。割れを放置しておくと雨漏りの原因になるので早急な対処が必要です。あと揺れによって屋根の瓦が横滑りすることがあります。このズレは、瓦の固定が不十分な場合や、経年劣化によって釘やワイヤーが錆びている場合に起こりやすいです。瓦がズレると、屋根の防水性が低下し、雨漏りが発生しやすくなります。また、瓦が一度ズレると、さらに次の瓦がズレる連鎖反応が起き、屋根全体の構造が不安定になります。

瓦の落下

台風などの強風にあおられたり、地震によって瓦が大きくズレると、そのまま屋根から落下することがあります。これは特に危険で、歩行者や家の周囲に停めてある車に被害を及ぼす可能性があります。落下する瓦は非常に重く、場合によっては致命的な事故につながることもあります。特に、鬼瓦などの装飾的な瓦は、普通の桟瓦よりも重量があり、落下時の衝撃も大きくなります。

屋根全体の崩壊

地震の規模が大きい場合、屋根全体が崩壊することもあります。これは瓦そのものだけでなく、屋根を支える木材や金属部品が破損したり、建物の基礎が崩れたりした場合に発生します。屋根が崩壊すると、家全体が大きく損壊し、修復には非常に高額な費用と長い時間がかかります。

板金パーツの飛散・落下

地震の時はあまりならないですが、台風などの強風が吹く雨風の時に棟包などの板金パーツが風にあおられて取れてしまう事があります。板金パーツを留め付けている釘・ビスなどが劣化により段々外れて来たり、錆びて傷んで来ると飛びやすくなるので定期的なチェックが必要です。

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3. 地震時に瓦が損傷する原因

建物や釘などの老朽化

古い建物では、瓦を支える屋根の骨組みや固定具が経年劣化していることが多く、地震・台風の揺れや強風に対する耐久性が低下しています。昔の施工方法ですと瓦1枚1枚を緊結していない工法だったり、緊結する時代の工法であっても、古い鉄釘やワイヤーは錆びて弱くなり、瓦をしっかりと固定できなくなっていることが原因です。また、古い建物では、現代の耐震基準に適合していない場合があり、建物全体が地震の揺れに対して脆弱になっていることが多いです。

重量バランスの不均衡

瓦屋根の重さは建物全体に大きな負荷をかけますが、その重さが均等に分散されていないと、災害の際に特定の箇所に大きな力がかかり、瓦がズレたり落下したりする原因になります。特に、鬼瓦や棟瓦など、屋根の一部に集中して重い瓦が使用されている場合、その部分が崩れやすくなります。

 

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4. 瓦屋根の地震対策

瓦の固定強化

瓦屋根の地震対策として、まず重要なのは瓦の固定を強化することです。現在では、瓦を1枚1枚屋根面に緊結する工法が一般的になっています。この方法を使用することで、瓦がズレたり落下したりするリスクを大幅に減らすことができます。また、地震・台風対策として、瓦と瓦の間にシーリング材を打つことで、揺れによるズレを防ぐ効果も期待できます。

屋根材の軽量化

災害対策として、瓦の代わりに軽量な屋根材を使用することも一つの方法です。金属製の屋根材やスレート瓦など、従来の陶器瓦に比べて軽い材料を使用することで、建物全体にかかる負荷を軽減し、災害時の安全性を高めることができます。また棟部分だけ従来の熨斗瓦から一体棟と呼ばれる棟に変更するだけでも重量も低くなり、棟部分の耐久性もあがります。また、軽量な屋根材は施工も比較的簡単で、耐久性にも優れているため、近年では多くの新築住宅で採用されています。

耐震リフォーム

古い建物の場合、屋根瓦だけでなく、建物全体の耐震性を向上させるリフォームが必要です。耐震リフォームでは、屋根の補強だけでなく、基礎や壁の補強も行います。これにより、建物全体が地震に強くなり、瓦の被害を最小限に抑えることができます。

 

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結論

地震による瓦屋根の被害は、建物の老朽化や施工の不備、重量バランスの問題など、さまざまな要因が絡み合って発生します。しかし、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に低減することが可能です。瓦屋根の美しさを保ちながら、地震に対する安全性を高めるためには、定期的なメンテナンスや、最新の耐震技術を取り入れたリフォームが不可欠です。

監修者情報

監修者情報

渡士 兆文(わたし よしふみ) 東大阪瓦産業株式会社 代表取締役

雨漏り修理・雨桶工事・屋根工事業者として、東大阪市を中心におよそ12万件にのぼる施工実績を持つ「東大阪瓦産業株式会社」代表取締役。一般社団法人 全国日本瓦工事連盟に加盟し、「瓦屋根工事技士」「瓦屋根診断技士」の資格を持つ経験豊富な職人と共に、質の高い技術ときめこまやかなサービスを提供。昭和47年創業以来、屋根メンテナンスのプロフェッショナル集団として地域への貢献に努めてきた。
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