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紐丸・素丸瓦について

素丸瓦・紐丸瓦についての説明

素丸瓦と紐丸瓦は、日本の伝統的な屋根瓦の一種で、特に屋根の棟(むね)部分に使用されることで知られています。これらの瓦は屋根の保護と装飾の両方を兼ね備えた重要な要素です。以下では、素丸瓦と紐丸瓦の特徴、施工方法(どういった場所で使用されるかなど)について詳しく説明します。

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素丸瓦の概要

素丸瓦の特徴

素丸瓦は、断面が半円形のデザインを持つ瓦で主な役割としては瓦と瓦の取り合いの境目部分を覆ってそこから雨漏りしないように施工されます。屋根の棟部分に使用されることが一般的で、棟の土台となる熨斗瓦と組み合わせることで雨仕舞と共に一体感のある屋根デザインを実現し、屋根全体の美しさを際立たせる役割を果たします。どちらかと言うと一般家庭よりはお寺や神社で使われる事が多いです。

紐丸瓦の特徴

紐丸瓦は先の説明の素丸瓦の片方に紐がついたようなデザインをしている為紐丸瓦と呼ばれています。役割などは素丸瓦と変わりませんが、施工は素丸瓦よりは幾分融通が利く部分があり施工しやすいです。形上的に素丸瓦よりも雨仕舞もいいです。(素丸瓦もキチンと施工すれば雨仕舞はいいです)

よく一般家庭の棟部分に使われているので見た事がある方もいると思います。

↓以前に施工したお寺の写真です。左側が紐丸瓦で右側が素丸瓦です

写真の様に下に来る瓦と瓦の取り合い(境目部分)に施工されます

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棟部分の素丸瓦・紐丸瓦の施工方法

施工前の準備

まず屋根の平部分の瓦を施工し、頂点部の棟芯が出来るだけ覆える様に半端瓦を納めて平部を作成します。その上に棟を作成しますが、丸瓦の土台になる熨斗瓦を施工して行きます。この土台は、一般的には練土やなんばん漆喰を使用して安定させます。事前に瓦の配置を計画し、仕上がりの見た目のデザインを想定しつつ瓦のサイズや数を正確に測定します。

丸瓦の取り付け

棟の中心線に沿って丸瓦を並べます。素丸瓦の場合は瓦同士の間に隙間ができないように調整しながら配置し、漆喰を使って固定します。この際、瓦の角度が適切になるよう注意を払います。漆喰が乾燥した後、瓦の表面をきれいに掃除し、仕上げます。

紐丸瓦も素丸瓦と同様に棟の中心に沿って配置しますが、紐部分のデザインが土台の熨斗瓦の継ぎ目と見比べて均等に見えるように調整する必要があります。瓦同士の間に漆喰を詰め、固定しながら紐の位置を微調整します。最後に、余分な漆喰を取り除き、全体の見た目を整えます。

メンテナンスの重要性

定期点検の必要性

素丸瓦・紐丸瓦は屋根の棟に使用されるため、特に風雨の影響を受けやすい部分です。定期的な点検が必要で、瓦の割れやずれ、漆喰の劣化がないかを確認することが重要です。

清掃と補修

瓦表面にコケや汚れが付着すると、美観を損なうだけでなく、瓦の劣化を早める原因になります。あと瓦と瓦の重なり部分にホコリなどが溜まってしまうとそこから雨水を引っ張って雨漏りに繋がる事があるので、定期的に屋根を清掃し、必要に応じて処理を行うことが推奨されます。

劣化の兆候と対応策

瓦にひび割れや色褪せが見られる場合は、早めの補修や交換を検討します。特に紐丸瓦は装飾的要素が強いため、部分的な交換であっても屋根全体の統一感を保つようにする必要があります。

↓左から平部の瓦の施工・棟の熨斗瓦の施工・紐丸瓦を施工しての仕上がり写真です。

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紐丸瓦だけの棟の施工

棟部分の上部で紐丸瓦を使いますが、少し寸法が大きい7寸丸瓦などをつかって土台の熨斗瓦を使用せずに棟とする施工もあります。

元々の棟の段数にもよりますが、そんなに段数積んでいない棟であれば今はこういった施工法もあります。屋根野地に金具を打ち付け、防腐の垂木を通して、両サイドに漆喰を詰めたら紐丸瓦を施工します。最後に紐丸瓦の上からパッキン付きビスで垂木に緊結して完了です。

↓7寸紐丸を使った棟施工

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風切丸部分の素丸瓦・紐丸瓦の施工方法

棟部分以外で丸瓦を使う場所としては風切丸部分があげられます。

屋根の平部分の横部分の袖瓦付近に縦方向に丸瓦を施工して納める事があります。こうして納められた丸瓦は風切丸と言って横からの風が平部の瓦を吹きあげてめくってしまわない様に防ぐ役割があります。

あと瓦の寸法合わせで付けられる事があります。瓦は一枚の寸法の規格が何種類かありますが、新築で屋根野地を大工さんに作ってもらう際には使う瓦のサイズを基本として屋根野地を作って貰います。

ただ葺き替えなどで元々ついてる瓦のサイズが今ないサイズとかですと、屋根野地に対してどうしても瓦が合わない事があります。

そういった場合の寸法合わせの部分としても風切丸が施工される事があります。あと少数ですが見た目で付けられる事もあります。

↓風切丸がついた屋根

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まとめ

素丸瓦の特徴

シンプルな円形デザインで棟部分に使用され、雨漏り防止と美観の向上に寄与します。

紐丸瓦の特徴

素丸瓦に装飾的な紐のデザインが追加され、美観を重視した建物に適しています。

施工方法

棟部分に瓦を配置し、漆喰で固定する。紐丸瓦の場合は、デザインの均一性に注意が必要。

メンテナンスの重要性

定期的な点検と清掃が必要で、劣化した瓦の補修や交換を行うことで屋根の耐久性を維持します。

利点と注意

丸瓦の雨水処理能力の高さと装飾効果、施工時の注意点と屋根構造への配慮が必要。

 

素丸瓦と紐丸瓦は、伝統的な日本建築において重要な屋根要素としての役割を果たしており、適切な施工とメンテナンスによってその美しさと機能を長く保つことができます。

監修者情報

監修者情報

渡士 兆文(わたし よしふみ) 東大阪瓦産業株式会社 代表取締役

雨漏り修理・雨桶工事・屋根工事業者として、東大阪市を中心におよそ12万件にのぼる施工実績を持つ「東大阪瓦産業株式会社」代表取締役。一般社団法人 全国日本瓦工事連盟に加盟し、「瓦屋根工事技士」「瓦屋根診断技士」の資格を持つ経験豊富な職人と共に、質の高い技術ときめこまやかなサービスを提供。昭和47年創業以来、屋根メンテナンスのプロフェッショナル集団として地域への貢献に努めてきた。
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