外壁調査に使用するドローンに搭載されるカメラ


2025年4月1日


↑当社の外壁調査で使用するドローン DJI社製 Matrice 350 RTK(マトリス350RTK) と カメラ DJI社製 H20T

1. 赤外線カメラと可視光カメラの概要

マンションなどの外壁調査において、ドローンに搭載されるカメラは大きく分けて「赤外線カメラ」と「可視光カメラ」の2種類があります。

  • 可視光カメラ
     一般的なデジタルカメラに近い機能を持ち、人間の目で見える光(可視光)を撮影します。高解像度の画像を取得でき、外壁の汚れ、ひび割れ、剥離、塗装の劣化状況など、表面の状態を詳細に把握することが可能です。
  • 赤外線カメラ
     人間の目には見えない赤外線領域の波長を感知し、温度分布の違いを画像として表現します。建物の断熱状態や内部の温度変化を検出できるため、目視では把握しにくい劣化箇所や、隠れた構造的問題、漏水や湿気の侵入など、内部異常の早期発見に役立ちます。

2. 各カメラの性能と役割

【可視光カメラの性能と役割】

  • 高解像度の撮影が可能で、細かな外壁のディテールを捉える。
  • 建物表面の色調、塗装の状態、目に見えるひび割れや欠損箇所などを詳細に記録。
  • 建物の外観や美観のチェック、外壁タイルの浮き、剥がれ部分を正確に把握できる。
  • 画像データは、調査後の報告書や修繕計画の資料として活用できる。

【赤外線カメラの性能と役割】

  • 物体の表面温度を検出し、熱分布の違いを色分けして表示。
  • 外壁内部の断熱材の劣化、隙間からの熱の漏れ、内部水分の蓄積など、温度差に基づく異常箇所を早期に発見。
  • 漏水や湿気の侵入がある場合、温度低下や温度ムラとして現れるため、目視では確認できない内部トラブルの兆候を捉える。
  • 定期的な温度データの取得により、経年的な劣化の進行状況を把握することが可能。

3. 2種類のカメラを併用することのメリット

赤外線カメラと可視光カメラの両方を搭載することで、外壁調査におけるメリットは非常に大きく、互いの弱点を補完し合う形となります。以下にその主なメリットを箇条書きで示します。

  • 包括的な調査が可能
     可視光カメラで外壁の表面状態を詳細に記録しつつ、赤外線カメラで内部温度の異常を捉えるため、表面と内部の両面から劣化状況を把握できる。
  • 早期異常検知
     目視では見逃されがちな微細なひび割れや断熱不良、内部水分の蓄積など、赤外線カメラが温度変化として検知することで、初期段階のトラブルを早期に発見可能。
  • 診断の精度向上
     2種類のデータを組み合わせることで、単一の画像だけでは判断が難しい箇所の問題点を、相互に補強する情報として解析できる。たとえば、可視光画像で劣化が疑われる箇所に対して、赤外線画像で温度異常が確認できれば、修繕の必要性をより確実に判断できる。
  • データの信頼性向上
     両カメラから得られるデジタル画像データは、定期点検の記録として保存・比較が可能となり、将来の劣化進行のモニタリングや、過去の調査結果との相関分析に役立つ。
  • リスクの軽減
     足場設置や高所作業に伴う安全リスクを回避し、効率的なドローン点検により迅速かつ安全な調査が実現できる。

4. 撮影画像というデータが残るメリット

ドローンで撮影された赤外線・可視光の画像データは、単なる現場調査に留まらず、長期的な建物管理や修繕計画においても重要な役割を果たします。以下にその具体的なメリットを箇条書きで記します。

  • 経年劣化の比較と追跡
     定期的に同じ場所の画像を撮影することで、劣化の進行状況や修繕前後の変化を定量的に評価できる。これにより、適切な時期に修繕工事を実施する判断材料となる。
  • 精密な修繕計画の立案
     画像データにより、劣化箇所や問題部分を正確に特定できるため、必要な修繕工事の範囲や内容を具体的に計画できる。修繕前後の比較により、修繕効果の検証も行える。
  • 証拠資料としての活用
     万が一、事故やトラブルが発生した場合、画像データは原因究明や責任の所在を明らかにするための重要な証拠資料となる。
  • リモートでの検討と意思決定
     デジタルデータとして保存された画像は、関係者が遠隔地からでも確認・解析できるため、専門家間の意見交換や迅速な意思決定を可能にする。
  • 長期的な資産管理と予防保全
     画像データは、将来的な資産管理の基盤となり、過去のデータとの比較により、建物全体の健康状態を予測するツールとしても活用される。

5. まとめ

赤外線カメラと可視光カメラを搭載したドローンによるマンションなどの外壁調査は、従来の足場を使った調査方法に比べ、効率・安全性・精度の面で大きな進化を遂げています。具体的には、以下の点が挙げられます。

  • 多角的な調査手法
     表面の目視検査と内部の温度解析の両面から外壁の状態を確認することで、劣化や異常を早期に発見できる。
  • 安全かつ迅速な点検
     高所作業のリスクを排除し、短時間で広範囲の調査が実施できる。
  • 信頼性の高いデジタルデータ
     撮影された画像データは、経年変化の追跡、修繕計画、証拠資料としての役割を果たし、長期的な建物管理に大きく寄与する。

両カメラの併用によるメリットを最大限に引き出し、さらに画像データを活用した予防保全や修繕計画の策定を行うことで、マンションの外壁の安全性や耐久性を長期的に維持することが可能となります。これにより、建物全体の資産価値が向上し、住民や利用者にとっても安心できる環境が提供されるのです。