ドローンによる赤外線外壁調査のメリット①


2025年4月2日


(赤外線カメラ搭載ドローンによる12条点検と大規模改修周期の調整)

マンションなどの外壁点検は、建築基準法第12条に基づき定期的に実施する必要があります。従来は10年ごとで足場を組んで全面点検を実施、その結果を元に12年周期で大規模修繕か(もしくは10年の時点で大規模修繕も実施・・・足場代がもったいない為)、12年で大規模修繕を確実に行う予定の元10年の全面点検をスルーして12年で足場を組んで全面点検→大規模修繕が一般的でした。

↓従来の打診調査の様子

しかし、赤外線カメラを搭載したドローンを活用することで、点検の精度が向上し、10年ごとの点検は足場を組まずに点検だけ実施→12年でその点検結果を報告→15年で大規模修繕という周期での運用が容易になりました。

文字ですとイメージが伝わりにくいですが、下記の図を参照して貰えれば分かりやすいと思います。

上のドローン×赤外線が10年でドローンで全面点検→12年でその結果を報告→15年で大規模修繕の15年周期のパターンです。

下が10年は全面点検せずに(12年で確実に大規模修繕を行う予定が前提)12年で足場を組んで全面点検と大規模修繕を実施の12年周期のパターンです。

図には記載ないですが、10年の全面点検用に全面足場を組んでその流れで2年早いですが大規模修繕という10年周期のパターンの所もあるみたいです。

期間を60年とすると

10年周期→6回  12年周期→5回  15年周期→4回

大規模修繕1回当たりの金額は建物にもよりますが、基本高額になりますのでこの回数の差によるコストカットの効果はとても大きいです。以下に赤外線カメラ搭載のドローンを外壁点検に使用するメリットについて確認します。

↓赤外線カメラ搭載のドローンで撮影した赤外線画像と可視画像の2分割画面

ドローンを活用することによるメリット

1. 大規模修繕の周期を最適化
  • 従来は10年目の全面点検で不具合が見つかった場合、12年周期で大規模修繕を行うのが基本でした。
  • ドローンを活用することで、10年目の点検で異常がなければ、大規模修繕の実施を先送りにできる可能性があります。
  • 逆に、10年未満で外壁の劣化が進行している場合、その部分については早めに修繕を実施する判断も可能になります。
2. コストの削減
  • 従来の全面点検では足場を設置する必要があり、高額な費用が発生していました。
  • ドローン点検では足場を必要とせず、点検コストを削減できます。点検と大規模修繕を完全に分けて考える事が出来ます。
  • 修繕の必要な箇所をピンポイントで特定できるため、無駄な修繕工事を減らせます。
3. 点検の頻度を増やして安全性向上
  • 3年に1度の手の届く範囲の点検に加え、ドローンを使った高精度の点検を実施。
  • 劣化が進行している場合、早期発見が可能になり、事故のリスクを低減。
4. 高精度なデータを蓄積できる
  • 赤外線カメラによる温度変化のデータと可視光カメラによる画像を組み合わせ、外壁の異常を正確に記録。
  • 従来の点検記録だと、打診点検をした作業者の主観でのチェックで記録を見ても、どこがどの程度の傷みがあるのか第三者から確認しづらかったですが、赤外線カメラ画像であれば誰が見ても同じ傷みの程度を画像から読み取る事が出来、より客観的なデータとして画像データを蓄積して行けます。何かあった際でも証拠としてデータを使用出来ます。
  • これらのデータを蓄積・分析することで、劣化の進行状況を数値化し、修繕計画を科学的に立案できる。
5. 修繕時期の柔軟なコントロール
  • 10年目にドローンを使用して全面調査を行い、12年目に調査結果を報告。
  • その結果をもとに、15年で修繕するか、それ以前に部分的な修繕を行うか判断可能。
  • 状況に応じた適切な修繕ができるため、コストパフォーマンスが向上。

ドローン活用の課題と解決策

課題解決策
気象条件による影響点検計画を柔軟に設定し、天候の良い日に実施
赤外線カメラの解析精度撮影の際に温度差がキチンと出る撮影方法実施
法的規制飛行許可を事前に取得し、安全対策を徹底
運用コスト初期投資は必要だが、長期的には足場設置費用を削減

まとめ

赤外線カメラを搭載したドローンを活用することで、外壁の12条点検の精度が向上し、大規模改修のタイミングを柔軟に調整できるようになります。結果として、

  • 修繕周期の最適化
  • コスト削減
  • 建物の安全性向上

が可能となり、より合理的な修繕計画を立てることができます。

↑ドローンで撮影が難しい場所はロープ点検を実施する事もあります

↑手カメラタイプの赤外線カメラ(地上から低階層を撮影するのに向いてます)